2020年(令和2年)9月グリーフワークかがわ
ニュースレター第197号(HTML版)

2020年(令和2年)10月19日 グリーフワークかがわ広報部

 リビングwithグリーフ 


ただの金太郎飴にならないために

花岡 正憲


日本では,国の権力を一か所に集中させないために,立法権と行政権と司法権の三権を別々の機関に受け持たせる仕組みを取っている。

2018年2日の衆院予算委員会の答弁で,安倍晋三前総理大臣は,「私はいま立法府の長として立っている」と述べた。安倍氏は,立法府を構成する国会議員の一人ではあるが,立法府の長は衆参議員議長であって,総理大臣は,立法府の長ではない。行政府の長である。

現行憲法上,検察権は行政権に属するが,司法権と密接不可分の関係にあるため,独立性と政治的中立性を確保すべきことが求められている。2020年1月末,安倍内閣が,政権に近いとされる黒川弘務東京高等検事長の定年の延長を閣議決定した。これには,法改正への批判が広がった。

一国会議員の顔で,三権を支配しようとするのだから,安倍氏は,中学校社会の公民で学ぶ,いわゆる三権分立の意味が理解できていないと言えよう。

大小の組織には,それぞれ目的をもって構成された人の集まりがある。NPOもしかりである。会員で構成される総会,総会で選出された理事及び監事で構成される役員会,そして各種の実務者会議,企画会議やプロジェクトチームなどである。

組織の構成メンバーが複数の会議に関わっていることが少なくなく,会議の名称が違っても構成メンバーは重なり,顔ぶれもほぼ同じあることも少なくない。こうしたことを金太郎飴だと,組織の内外から揶揄されることがある。金太郎飴とは,どこを切っても切り口に金太郎の顔が現れる棒状の飴である。転じて,似たり寄ったりとか,画一的であるといったことの例えに,否定的ニュアンスで使われがちである。

人の集まりである家族に目を向けてみよう。家族の機能はいくつかあるが,その主たる機能が,子どもを育て,自立を支え,社会に排出する機能であることから,通常,家族構成を語るとき,子どもを中心にして,祖父母,父母,子どもと言った呼び方がされる。

しかし,子どもにとっての母親は,父親にとっては,妻として,例えば,セックスのパートナーでもあれば,子育てや家事などの役割を協力分担し合うパートナーでもある。また,祖父母にとっては,父親は後継や,葬儀の際の喪主が期待されている長男であったりする。顔は同じでも,家族構成員も,期待される役割によってその機能はそれぞれ違ってくる。

こうした中で,夫が妻との議論を避け,夫婦間の大切なことを自分の母親に決めてもらったり,妻が思春期になる息子と寝室を共にしたりすることが日常化していると,家族は機能不全に陥ってしまう。人は多様な人間関係の中で生きていて,その場その時の役割を取ることが期待されている。

家族を治める家族政治も,NPOを治める団体政治も,構成員には多様な役割がある。ある目的を持った人の集まりに身を置きながら,別の目的を持った人の集まりにも身を置くが,顔ぶれは殆ど同じというのは,普通にあることである。だからと言って,本来別の場で議論して決めるべきことをその場の議論で決めるようになると,失われるものが多くなっていく。目的や規則を無視して,存在感や発言力が強い人だけでものごとを決めるという人知主義は,ボスや独裁者を生み,やがてそうしたシステムは衰退していくことは,歴史を見ても明らかだ。

一見,非効率的な手続きであっても,意思決定過程の方が,結論以上に大切なことがある。民主主義とはそうしたものであろう。大切なことは,外形的には金太郎飴であってもただの金太郎飴ではなく,人の集まりは,切り口によっては,味が異なること,そしてその場にいる人たちがそのことに気がついているかどうかだ。


(グリーフワークかがわ 精神科医)
2020・9・17




◆2020年9月 13日 第150回理事会◆


《審議事項》

第1号議案

認定NPO法人有効期間更新に係る指摘事項(以下「指摘事項」とする)に関する事項

指摘のあった賛助会員の会費決定時期が不明であるとされた件については,定款に従い,次回の定期総会における決議事項とすることで了承された。

第2号議案

会員への報償費に関する事項

第149回理事会からの継続審議事項となっているボランティア役務費については,年度内の役員研修のテーマの一つとすることで了承された。

第3号議案

寄付金領収証の様式に関する事項

監事と県担当者の助言をもとに作成された様式案について審議が行われた。法人への寄付金授受への方法の如何を問わず,租税特別措置法に基づく領収書様式については,原本と控え上下2葉とし,取扱者印の割印を押印する様式で了承された。

第4号議案

会費納入依頼に関する事項

認定NPO法人有効期間更新に係る現地調査の「指摘事項」(以下「指摘事項」という)(6)にあった未収金扱いについては行わないこと,また会費納入処理については,年度をまたいで納入があった場合において過年度分として処理することで了承された。

第5号議案

管理費のコンサルフィー(顧問料)の計上に関する事項

「指摘事項」(7)において,顧問と監事が同一人であることについては,その行為が利害相反行為までには当たらないとは言え,誤解を避けるために顧問を相談役の名称に変更する方法の助言があったが,今後に累が及ばないために,顧問と監事を別人とすることで了承された。

第6号議案

新型コロナウイルス感染予防対策に関する事項

第149回理事会からの継続審議事項となっている相談事業,啓発事業,人材育成事業等で使用できる会員向けガイドライン「新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に向けたグリーフワークかがわの対応について」の案が理事長から示され説明があり,審議が行われた。名称部分の「対応」は「方針」に変更し,「1 職場にける対策の基本的な考え方」「2 感染拡大防止に向けた対策について」「3 感染の発生に備えた情報収集について」の3項目とすること,項目3の記述部分は,「事業利用者(来訪者)に,氏名及び連絡先の情報収集について協力をお願いし,事業担当者ごとに保管しておくこと」とすること,発効日を2020年9月13日付とすることで了承された。

第7号議案

2020年度グリーフカウンセラー養成講座・基礎コースに関する事項

受講申し込み後において,講師会において受講不可として受講のお断り文を発送した県外の受講希望者の扱いについて審議を行った。受講不可とする上で手続き上の問題があったこと,及び当法人で「新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に向けたグリーフワークかがわの指針について」が発効し当面の対処が可能となったことから,受講可とする連絡を行うことで了承された。

第8号議案

技術援助事業「高松市第2保育所 地域子育て支援センター講師派遣」に関する事項

高松市第2保育所から講師派遣依頼について技術援助担当理事から報告が行われ,派遣日が11月9日に決まったこと,派遣講師は夛田敏恭及びローマ真由子両理事が受諾したこと,先方へ理事長宛講師派遣依頼の郵送依頼をFAXで行ったこと,派遣依頼が届くのを待ち次の作業に移ることで了承された。

第9号議案

2020年度テーマ募金に関する事項

2020年度テーマ募金について申請が受理されたが,メール上での確認にとどまっているものをあらためて確認し,今後は,共同募金会からの照会(チラシ印刷等)や参加団体連絡会については,杉山とローマが担当していくことで了承された。



◆2020年9月20日 第94回認定カウンセラー会議◆


  1. 各相談事業の報告
    8月の相談事業について現状報告があった。
  2. 会員向けガイドライン「新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に向けたグリーフワークかがわの対応について」の説明があった。
  3. 実務者研修について案内があった。
  4. 2020年度グリーフカウンセラー養成講座の企画について説明があった。
  5. 研修の必要性とグリーフカウンセラー資格認定更新についての議論があり,いずれも理事会に上申することとなった。
  6. 勉強会

    文献「ともに悲嘆を生きる グリーフケアの歴史と文化」
    島薗進著 朝日新聞出版 朝日選書982

    第6章 悲しみを分かち合う「うた」

      解説担当:村上美智子