2020年(令和2年)4月グリーフワークかがわ
ニュースレター第192号(HTML版)

2020年(令和2年)5月17日 グリーフワークかがわ広報部

「グリーフワークを学ぶにあたって」


本年よりグリーフカウンセラーの認定をいただき、その決意表明として寄稿させていただきます。田辺出と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

『死』に付きまとわれて生きてきたような気がします。と言うより、私自身がしつこく追い回したのだと思います。心配事をいつまでも考えてしまうようなもので、逃げ出すこともできずにその問題に捕らわれてしまったのでしょう。

一時期は地方衰退の問題に関心があり、地域活性化の仕事をしていました。仕事の任期が過ぎると、しばらくして葬儀業界に入り、ご遺体を清めて棺へとお連れする、納棺師という仕事もしていました。

終わってしまうものや、なくなってしまうもの、切り捨てられていくもの。そういう日陰のものに興味があります。

それらは一様に、私の中で『死』という一点に向かって収束しています。社会や法律、科学とかそういうものを超えて、“この私という存在が終わる“、という意味での『死』のことです。

その問題を追い回してきて、ひとつ思うのは、死生観というものに果たして答えがあるのかどうかは分からないけれど、少なくともそれは生きて、経験するにつれて深まっていくものであり、その深まっていく様は美しいということです。とても痛ましいけれど、同時に美しくも感じます。

私達一人ひとりが、そういうものに向き合い、それを深めていく場所や時間がもっとあれば良いのに、ということを強く思います。

近年では『死』に対する社会の認知も少しずつオープンになり、死生学という学問なども生まれ、各々の死生観を語り合う『死生学カフェ』なるものが全国的に展開したりもしているそうです。当会に参加させていただく中で、香川にもそんな雰囲気の場を作れたら何かしら社会に寄与するところがありはしないか、などと考えています。

そのようなことを考えるにあたり、だからこそ、グリーフケアについてまだまだより多く学ぶ必要性を感じます。命綱無しに崖を降りるわけにはいかないように、公衆衛生の知識無しには納棺の仕事に携われないように、『死』の暗闇の世界に踏み入りその危険な道を案内するためにも、足元を照らすためのケアの灯りが必要だと思うからです。

こうして有り難いご縁を得たからには、当会にて沢山学ばせていただき、また僅かとは思いますが、自分に出来ることを通してご助力をさせていただけたらと思う次第です。


グリーフカウンセラー 田辺出




 リビングwithグリーフ 


ソーシャル・ディスタンス

花岡 正憲


新型コロナウイルス感染症対策に関連して,初めて耳にするような横文字言葉が飛び交う。オーバーシュート,ピークアウト,ロックダウン,ステイホームなど。国粋主義の政治家の中には,日本語表記にすべきだと意見を述べる者もいるが,そうだろうか。

人々に新たな意識を発生させ,行動の変容につなげるためには,あえて日本語訳にして原義を損なうよりは,むしろ原語のままで,本来の意味を理解する方が良い場合もあるだろう。

感染症の拡散を停止または減速させることを目的とした「ソーシャル・ディスタンス」もその一つだ。これを「社会的距離」と日本語訳にして普及を図ろうとしても,期待された行動の変容につながるかどうかは疑問だ。わが国は,社会的利益を発生させる個人の行動が結果的に個人の利益につながると言う関係が曖昧になりやすい。「社会的距離」と言われても,自分の行動の変容が問われることではなく,社会の側が行うことと受けとめられかねない。

今回は「社会的距離をとる」という行動が大切だということから,ソーシャル・ディスタンシング(social distancing)と進行形にして-ingをつける表現の方が正確だとされる。WHOは,物理的距離をとる場合は「社会的」(social)の代わりに「身体的」(physical)を用いるよう提案している。

感染防止を目的としたソーシャル・ディスタンスは,WHOでは1メートル程度,米国CDCは1.8メートル,ニュージーランドは2メートルと定めている。スウェーデンのように,ロックダウンを強制せず,国民が,国が示すソーシャル・ディスタンスの指針に従うやり方で感染予防策をとったところもある。

ソーシャル・ディスタンスが定着しつつある日本でも,スーパーマーケット,コンビニ,ドラッグストアなどでは,床に目印のフットスタンプや待機場所を示すサインが見られるようになった。

そうした中で,レジに向かう列に並んでいると,後ろの人のカートの先がこちらの腰や踵にコツコツあたることがある。精算中も,じりじりとこちらへ寄ってくる。車間距離を縮めて煽られたような気分になる。感染予防対策のためのディスタンス以前の問題である。

日本は,もともと他者との社会的距離を保つうえでの脇の甘さがある。通行人がいても通路に立ちはだかったり,混みあったところで人の体が触れ合ったりすることを余り気にとめない。海外旅行で,日本人がスリ(・・)の被害にあいやすいのは,不自然な人の動きにあまり頓着しない生活習慣と関係があるとも言われる。

人は他者と一定の距離を保つことで,安全感が得られる。人と人との緊張関係の発生を低減するためには,バッファーゾーン(緩衝地帯)が必要になる。心理的衝撃を吸収する距離である。

ソーシャル・ディスタンスは,もともと社会学の用語で,親密でない人が入ってくると,不快感や緊張感を覚える空間,いわゆるパーソナルスペースの一つである。知らない人同士が容易に会話ができる距離で,1.2から 2メートルとされている。

簡単に手が届くテリトリーに人が入ってくると脳の過剰興奮が起こりやすい。他者の仕草や動き,臭いなどが気になる。ベンチシートの隣にドスンと座られてドキッとすることがある。パーソナルスペースが侵されて不快感が募ってくると,人は切れやすい状態に陥る。満員電車の中で時々見られる口論はその一つの例だろう。

ソーシャル・ディスタンスが損なわれて怖いのは,ウイルスやスリ(・・)だではない。近づきすぎると君子も豹変するもある。コロナ時代の「新しい生活様式」と言うが,一歩外へ出たときは,むしろソーシャル・ディスタンスが「本来の生活様式」なのだろう。

今でも忘れられない光景がある。海外を旅行したときのことである。体の不自由な老夫婦がある会場の入場ゲイトを通過して,ゆっくり歩きはじめた。その後ろにできていた日本人観光客の列が待ちかねたようにゲイトを通過しようとしたところ,係員の若者が手で静止,老夫婦が場内の広い空間に移動したこと確認にして入場を再開した。

ソーシャル・ディスタンスを保ち人を守ることが実践されている国では,人がいたずらにお互いの体に触れあうとか,ゴツゴツ当たるようなことはない。人との距離を縮めたいときは,自分から積極的に行動を起こして,握手,ハグ,キスなどを行う。そうした国でコロナ感染が広がているのは皮肉なことだ。

ソーシャル・ディスタンスには,時間的要素もある。医療機関には予約制を取っているところもあるが,予約とは名ばかり,1時間以上待たされることもある。他者の事情のために,自分の貴重な時間を費やしてしまう。店員にものを尋ねているとき,別の客が割り込んできて,こちらの会話が中断する。自己と他者の生活時間の間にもディスタンスが欲しい。

ステイホームがスイートホームになって「コロナベイビー」ブームが起きるかもしれないという都市伝説もあるが,夫婦関係が煮詰まってしまい「コロナDV」や「コロナ離婚」という深刻な話もある。

樹木も枝が込み合っていると病害虫が発生しやすくなる。枝が擦れ合って,実に傷がついたり,自然発火して山火事になることもある。人と人との関係も,健やかさを保つためには,日ごろからお互いのディスタンスへの気配りを忘れず,風通しを良くしておくことが大切だ。


(グリーフカウンセラー 精神科医)
2020・4・23




◆2020年4月4日 第144回理事会◆


《審議事項》

第1号議案

2020年度収支予算案に関する事項

2019年度決算見込みから2020年度収支予算案について審議した結果,修正案について,次回の理事会にて再度審議する予定として了承された。

第2号議案

2020年度会計担当に関する事項

第143回理事会第1号議案の決定に従い人員確保のための方法について審議を行った。審議された人件費に基づき,公募を検討する。今後、求人について届出に必要な事項を確認する予定で承認された。

第3号議案

2019年度香川県地域自殺対策強化事業費補助金実績報告に関する事項

実績報告の確認と提出書類についての確認を行い,4月10日までに提出の準備を行うことで承認された。

第4号議案

2020年度実務者研修に関する事項

西山理事より2020年度の実務者研修に関する案が示され,今後ロールプレイ研修を含めて講師やテーマを調整されること,4月の実務者研修は見合わせることで承認された。


◆2020年4月12日 第145回理事会◆


《審議事項》

第1号議案

2020年度収支予算案に関する事項

未収金が確定したため,再度修正の上,次回理事会にて確認する事で承認された。

第2号議案

2020年度会計担当に関する事項

ハローワークで様式を確認の上,次回理事会までに募集案を作成し提示する事で了承され継続議題とすることで承認された。

第3号議案

認定NPO法人認定有効期間更新申請の手続きに関する事項

申請書及び添付書類が揃ったので4月17日(水)に提出し,引き続き理事会にて報告する事で承認された。有効期限の7月27日迄に2回の実地調査が行われる。

第4号議案

2020年度(2021年度事業)テーマ募金の申請に関する事項

2020年度も引き続き募金目標額を50万円とし,テーマも引き続き子どもの喪失のサポートにて申請する事で承認された。申請においては2021年度の事業として予算を組み直す事で承認された。

第5号議案

2020年度認定カウンセラー資格認定委員の選出に関する事項

認定委員7名が選出され,認定作業等を行う事で承認された。

第6号議案

2019年度資格更新者と資格失効者への対応に関する事項

資格失効者を相談のメーリングから外す件については総会において事前周知を行うこと,更新者については自動更新とはせずに登録書を提出してもらう事で承認された。

第7号議案

高松市自殺対策推進会議委員の推薦に関する事項

本委員会は,高松市の自殺対策の政策形成に関わるものであることから,グリーフワーかがわの立場から政策提言などを述べるために,夛田理事を推薦する事,会議出席に先立っては理事会で事前に会議し,出席後には理事会と,文書で報告する事で承認された。報償費については技術援助事業として扱う事で承認された。

第8号議案

NPO法人取得10周年記念シンポジウム第10回実行委員会に関する事項

4月16日(木)開催予定の第10回実行委員会は見送りとし,来月以降に改めて日程調整とすることで承認された。



◆4月の認定カウンセラー会議◆


新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止