2019(平成31)年3月グリーフワークかがわ
ニュースレター第179号(HTML版)

2019(平成31)年4月8日 グリーフワークかがわ広報部

街頭キャンペーン 子どものグリーフワーク週間


3月13日、この日は子どものグリーフワーク週間(3月11日〜16日)と云う事でJR高松駅前にて「子どもの声が聞こえていますか?」をスローガンにヴァイオレットリボンとチラシを配布して来ました。


始めはチラシ配布の要領がわからなく手間取りましたが次第にコツが掴め予定時間より早く配り終えました。

「子どもの声が聞こえていますか?」と大きく書かれた看板を使いながら「子ども」に付いて「伝えたい」チラシを配っている事と次に歩いてくる通行人にもその事が解るような「間合い」で配れば良いことが私のコツでした。

受取り率は年配の女性が高く彼女達は「チラシ」から子どもの現状に憂いを感じて受け取っていると私は感じました。

「憂い」の多くは虐待の事でしょうか、現に配布中に「ん?虐待のこと」と話しかけてくる女性もいました。「虐待」は今回の目的とは直接には関係はありませんが、条件が出来事を生み、その出来事がさらなる出来事を条件づける人間の業からみれば、子どものグリーフワークと虐待は無関係ではありません。

子どものグリーフ(悲嘆)は両親など身近な死別はもちろんですが、離婚離別・引っ越しなどの別れ、虐待やいじめによる自尊心の喪失などもあります。死別体験、喪失体験どれも子どもの心身に否応無く降りかかります。そして子ども達の心身は周りの大人達の行為によって条件づけられ成長していきます。

グリーフワークが「悲嘆」を体験した子ども達に良き縁につなげ良き先行条件となるように願うチラシは寒風の中、少しですが広がりました。

グリーフカウンセラー 童銅啓純





◆リビングwithグリーフ◆


花を手向ける

花岡 正憲


1960年,イラクのシャニダール洞窟で発掘されたネアンデルタール人の化石骨の周りの土には,数種類の植物の花粉が含まれていた。遺体の化石は40歳前後の男性で,約5万年前の初夏に,花に包まれて埋葬されたと考えられている。

当時咲いていた花が偶然一緒に化石になったのではないかという説や動物によって花粉が墓穴に持ち込まれたという研究もあるが,太古の人類にも,ホモ・サピエンスと同様,仲間の死を悼み,花を手向けるという感性が備わっていたのではないかというロマンのある説が有力である。

花を手向けるのは死者だけでない。今日,卒業や進学,退職や就職など,新たな旅立ちや別れのシーズンは,花を贈ることが日常的になっている。祝意やねぎらいを花に託したいという贈り主のニーズにそって,花屋も,フラワーショップ,フローリスト,ガーデンと言った当世風の看板を掲げることが多くなった。

ある時花屋を訪れ,メッセージカードを添えて花束の配達を依頼することがあった。「この時期,4,5日旅行に出て,家を空けているところがある。先日も一日家族連れで出かけていて,届けるのが夜の10時になった。2,3回出向いて行かないといけないこともある」と店主が語る。

花屋も,宅配業者と同じ苦労があることは分からないでもない。店主は,さらに続ける。「特に時間指定がないのなら,今からすぐ届けてみる。在宅かどうか確認するので電話番号を教えて欲しい。でも相手は,心当たりのない電話番号に出ない人かもしれないので,贈り主から電話をしてくれないか」と。

しおれないうちに早く届けたいと言う店主の事情はもっともだが,花にこめられたこちらの思いが先にしおれて行くようで,ここでの配達は諦めて店を後にした。

しかし,こちらの思いを込めて,しおれないうちに届けたいのなら,花屋の手を煩わすことなく,直接先方へ出向いて届けるのが本来のあり方だろう。むしろ贈り主の方が問われることかもしれない。

庭先の花やネアンデルタール人のように野山の花を切り花にして届けるやり方だってある。物は豊富になり,便利になった分,型にはまったやり方にとらわれ,モノに込められるヒトの思いが薄くなっていくのではないかと,ふとそんなことも考えた。

最近は,誕生日に業者から顧客サービスとして花が送られてくることもある。花の贈答が虚礼文化として広がって欲しくはない。それでも花が贈り贈られる社会は平和な社会なのだろう。花が戦死者に手向けられ,庶民が日常的に花をやりとりすることが憚られるような時代になることだけはご免だ。花を贈る機会が多いこの時期,豊かさとは何かとあらためて考える機会になればと思う。


(グリーフカウンセラー 精神科医)
2019・3・25




◆2019年3月10日 第131回理事会◆


《審議事項》

第1号議案

2018年度事業実績と収支決算の見込みに関する事項

事業実績については理事長から報告があり,収支決算については会計担当から現在の作業状況について報告された。香川県地域自殺対策強化事業費補助金の実績報告,共同募金会への実績報告の準備も行い,税理士に助言を得る予定であり,事務局として詰めの作業を行い3月末の決算を4月の理事会で報告することで了承された。

第2号議案

2019年度事業計画と収支予算案に関する事項

理事長より,事業計画案が示され,以下のことを追加と,内容に盛り込むことで了承された。

  1. グリーフカウンセラー養成講座は6回シリーズで行うこととし,統一性,一貫性を持たせるために企画会議と講師会を重ね,内容について練り直していくこと。
  2. 人材育成事業として「講師育成事業」を加え,技術援助の講師を育成する。会員の中で希望者を募り,グリーフワークについての講義の内容のブラッシュアップや演習のスキルアップを行う。予算については,香川県地域自殺対策強化事業費の人材養成事業を充て,外部からの講師を招聘することも検討していく。
  3. 「ひまわりミーティング」については,広報活動を拡げていく必要がある。自殺,自傷行為,うつ症状,嗜癖行動,引きこもり,児童虐待などの背景に,幼少時の喪失の問題が影を落としていることが少なくない。次世代の健全育成とメンタルヘルス問題の予防の観点から保育,教育分野への啓発,広報活動を拡げていくこと,行政だけでなく地域の子ども関係のNPO法人や市民団体との協働の強化,マスメディアへのアプローチを行っていくことで了承された。子どもや親・保護者の手元に届く情報誌や,広報の方法などについて情報収集が必要であることも確認された。

第3号議案

2019年度通常総会に関する事項

第15回通常総会(2019年度総会)を6月9日(日)13時30分から行うことで了承された。役員改選の年度であり,総会終了後15時から理事会を開催し,理事長の選出を行う。総会に向けて,事業報告と収支決算のまとめを行い,4月の理事会で確認し,監査については事務局で日程調整を行っていくことで了承された。

第4号議案

グリーフワーク・デーに関する事項

3月13日に延期になったことで,役割の分担とスケジュールについて再度調整を行い,理事長から周知することで了承された。

第5号議案

認定カウンセラー拡大会議に関する事項

3月17日開催の標記会議について役割の確認を行い,2月17日開催の第76回認定カウンセラー会議で提案された分担で行うことで了承された。

第6号議案

実務者事前研修に関する事項

2月17日の第76回認定カウンセラー会議での審議をもとに行われた西山コーディネーターからの提案どおり,当日の講師として池島,村上(美),西山コーディネーターに加え,倫理綱領については杉山が行うことで了承された。




◆2019年3月17日2018年度認定カウンセラー拡大会議◆
(第77回認定カウンセラー会議)


2018年度に新たに認定されたグリーフカウンセラーを加え,拡大会議を開催した,まず理事長から,NPO活動の目指すところと会員の役割,「認定NPO法人」についての解説があった。次に,グリーフワークかがわの2019年度事業計画案について,現在,理事会で審議中の内容の説明があった。毎年継続的に実務者研修とスーパービジョンを行っているとともに,定例的にカウンセラー会議を行っていること,カウンセラーの連絡と課題解決の協議のみならず,実務者としての学習の場という意味もあることが確認された。3月の相談事業の報告と課題について質疑を行い終了した。