2018(平成30)年7月グリーフワークかがわ
ニュースレター第171号(HTML版)

2018(平成30)年8月11日 グリーフワークかがわ広報部

◆グリーフワークかがわ会員からのメッセージ◆


「私とグリーフワーク」


思えば早いもので、私とグリーフワークかがわとの出会いは、主人が3年前に花岡先生の講義を受けた事から始まります。去年は主人、今年は私がグリーフワークかがわ認定グリーフカウンセラーになりました。

現在は自殺予防土曜ホットラインにて電話相談をしています。電話でお話を聞いて、終わる時に電話口の向こうから「今日は話を聞いてもらってよかったです」と言われると未熟な私でもお役に立てる事があるんだなと実感します。

カウンセラー業務の他に、会計も担当の先輩に教わっています。カウンセラーとして、また事務方として、グリーフワークかがわに携わっていこうと思います。

7年程前には整理収納アドバイザー1級の資格を取得しました。整理収納の仕事をしていく中では遺品整理のお手伝いをすることもありました。遺品にまつわる思い出話を聞いていくうちに、楽しかったことなどを思い出されて笑い話になっていくことがありました。遺品整理のお手伝いをすることもグリーフワークのひとつであると、グリーフカウンセラー養成講座を受講した後に気づきました。

実は私自身、今年の3月に事故で母親を亡くして、母との死別という非日常の渦の中に巻き込まれました。その後7月には大切な友人を亡くしました。グリーフカウンセラー養成講座を受講し、大切な人を亡くした時の心構えができていたこと、主人をはじめグリーフワークに携わっている人が周りに居てくれたこと、そのお陰で母や友人を亡くした悲しみに呑み込まれ過ぎるということはなかったように感じます。まだまだ寂しい思いをする事もありますが、この悲しみを抱きしめながら、今後大切な人を亡くした人のお役に立つためにも、自分の気持ちに真摯に向き合い、クライアントに寄り添うことができるよう、研鑽を積んでいきたいと思います。


グリーフカウンセラー  西山 和美



◆2018年度グリーフカウンセラー養成講座・基礎コース開催のお知らせ◆


  • 催:認定特定非営利活動法人グリーフワークかがわ
  • 日:2018年9月27日 開講 6回シリーズ 最終回11月1日
    毎回木曜日 18:30~20:30
  • 場:サンポートホール高松  高松市サンポート2番1号 TEL 087-825-5000
  • 受講対象:募集定員12名。本講座は,地域でグリーフカウンセリングという視点で相談援助等の実務(プラクティス)を行う方を対象とします。全課程出席可能な方。資格・経験の有無は問いませんが,治療を目的としたものではありません。大切な方を亡くされて12か月を経過していない方は,別のプログラムをご利用されることをおすすめします。受講修了者は,ご希望があれば,一定の条件のもとにグリーフワークかがわでの相談業務を行うことも可能です。

詳細はホームページをご覧下さい  https://www.griefwork.jp/


講座スケジュール(毎回 18:00開場 18:30開始 20:30終了)

開催日 テーマと
講師
ねらい
9月27日(木)
18:30~20:30
サンポートホール高松
51会議室
・喪失体験
・悲哀と悲嘆
池島邦夫
・受講者自身の喪失体験を通して喪失を定義づけ,その特徴について理解を深める。
・グリーフを「大切な人との別れ」という視点から,共感的に悲哀と悲嘆を定義づける。
10月4日(木)
18:30~20:30
サンポートホール高松
52会議室
・家族の死
青井恵子
・故人の果たしていた役割を理解し,喪失を経験した家族の危機と回復過程について学ぶ。
10月11日(木)
18:30~20:30
サンポートホール高松
51会議室
・自殺
・自殺者遺族のケア
夛田敏恭
・ポストベンション(事後のケア)という観点から自殺者遺族へのケアを学ぶ。
10月18日(木)
18:30~20:30
サンポートホール高松
51会議室
・末期がん患者の看取りと喪失
瀬尾憲正
・予想された死に対する喪失について学ぶ。
10月25日(木)
18:30~20:30
サンポートホール高松
51会議室
・子どものグリーフワーク
上野美幸
・子どもの発達段階に沿ったグリーフの特徴について理解し,そのケアについて学ぶ。
11月1日(木)
18:30~20:30
サンポートホール高松
51会議室
グリーフカウンセリングの終結
カウンセラー自身の悲哀
池島邦夫
・グリーフカウンセリングの意義を再認識するとともに,悲哀の完了について学ぶ。
・カウンセラーの限界とコラボレーション(職種間の協働)の重要性について学ぶ。

講座スケジュールの順序が変わることがあります。あらかじめご承知おきください。





◆技術援助 ゲートキーパー普及啓発事業報告◆


2018年7月10日(火)香川県警察学校でのゲートキーパー普及啓発事業が行われ,当法人から講師として花岡,杉山が派遣されました。対象は初任科生55名と補修科生29名,補修科生は4月から現場での任務を3か月経験した方々です。

まず,主催者として香川県精神保健福祉センターから,精神保健福祉センターの業務紹介精神保健福祉に係る制度についての説明,香川県の自殺の状況など自殺関連統計の概要説明がありました。引き続き,グリーフワークかがわから「自殺予防の基礎を学ぶ~自殺予防のために私たちができること~」というテーマで講義とグループワークを行いました。

講義では,まず,「自殺とは何か」について,自殺の3H(Hapless,Hopeless,Helpless),ゲートキーパーの役割,自殺に関する神話について解説を行いました。さらに「わたしは,なにができるのか?」については,具体的な声かけの言葉を例に挙げて説明を行い,「自殺が起きてしまったら」についてもグリーフとトラウマへの対処について,何をすべきか,何をしてはいけないかなど,現実的な行動を例に挙げて説明を行いました。講義の最後には「The bridge between suicide and life」(日本語訳:生と自殺の間に架かる橋)のビデオの供覧を行いました。サンフランシスコのゴールデンゲートブリッジ周辺で自殺志願者に対処してきたカリフォルニア・ハイウエイ・パトロールに23年務めてきたケビン・ブリンクス氏のレポートです。美しい橋の風景に,自殺を美化し身を投げようとする人たちと向き合ってきた現実が語られ,自殺の淵から戻ってきた人の「人生を希望とともにやり直したいと考え直すきっかけになったのは,自分が言うことにあなたが耳を傾けてくれたからだ」という言葉で締めくくられています。

グループワークでは,8人ずつのグループに分かれ,「あなたは何ができそうですか」と問いかけて話し合いを行いました。代表者による発表では,積極的に声をかける,相手が大丈夫と言っても問いかけ続けるという発言がありました。

若い警察官は,まず交番の仕事(地域課)から任務に就くそうです。24時間,地域住民の暮らしが見えるところに立たされる人たちであり,まさにゲートキーパーとなり得る人々です。DVDを熱心に見る姿勢,「どういう言葉かけができるか」「何をすればいいか」と話し合うグループ討議の熱心さから,あらためて,自殺と自殺予防についての現実をもっと学びたいという彼らの意思を感じました。


2018年7月14日

報告者:グリーフカウンセラー 杉山洋子


◆リビングwithグリーフ◆


日本人がバックで車をとめたがるわけ

花岡 正憲


駐車場での経験である。前の車について駐車場へ入って行った。空きがあったのでそこへ停めようと車を進めたところ,前の車が急に停車してバックを始めた。そのまま止まって待っていると,「人が停めようとしているのに,バックできないじゃないか」と前の車のドライバーに怒鳴られたことがある。

多くのドライバーがバックで車を停めたがる。通路部分が広いと,前輪と後輪の回転半径の違いからくる内輪差や外輪差を気にせずに出し入れしやすい。そのせいか,最近は,郊外のコンビニなど広い駐車スペースを設けているところでは,前進で停めている車も見かけるようになった。

外国では,駐車スペースの広さに関係なく多くの車は前進で停めている。これは,グーグルアースで世界のどこかの町をズームアップすれば一目瞭然だ。

ショッピングモールや病院などで,申し合わせたようにノーズをそろえて駐車している光景を見ると,一人前進で駐車することが憚れる。履物が綺麗にそろえられた下足場で,自分だけ靴を脱ぎ棄てたまま上がろうとする,そんな無作法をしている感覚に襲われることがある。

確かに履物をそろえるのは,日本的機能美と言えるのだろう。だが,車の停め方となると,事情が違ってくるようだ。

植栽帯や花壇があるときは,バックで駐車すると植物を痛める。植物への影響を考え,前進での駐車を指定表示をしているところもある。トランクルームの物の出し入れも,バックで停めていると不都合な場合がある。隣の車や壁との隙間が狭い時は,特にセダンタイプのヒンジドアの車では,前進駐車の方が乗り降りもしやすい。

ある時前進で駐車しようとしていたら,駐車場係がやってきて,バックで停めるように言われたことがある。わけを聞くと,その方が出やすいからだという。ただそれだけのことでお節介だとは思いながらも,理由はやはりそんなところにあるのかと妙に納得してしまった。バックで車を出そうとすると,予期せぬ事態が起きて出にくくなる。そんな不安を解消しておきたくなる心理的要素の方が大きいのだろう。

安心を先取りするために前もって不安を少なくしておきたいという心理は,一歩間違うと柔軟性を欠き強迫性を帯びてくる。戸締りやガスの元栓の確認行為,手洗いの反復行為など,病的な几帳面さや潔癖さは,不安を伴うある種の事態を防ぎたいがための「打ち消し」という防衛機制の一つである。当人も無意味だと思っても止められない。

心理社会的発達理論を提唱した精神分析家で発達心理学者のE.H.エリクソンは,人が健全で幸福な発達をとげるために各発達段階で達成しておかなければならない課題のうち,第1の段階における「基本的信頼感」に注目した。自分が住む世界を基本的には信頼できると見ることができるか否かで,人の生き方が大きく変わり,不信感は,精神病やうつ病をはじめとする様々な病理と関連があるとした。

備えあれば憂いなしではあるが,将来不安や不信感のために,備えたり身構えたりばかりでは,今に憂いを残す生き方になってしまうことも確かだろう。


(グリーフカウンセラー 精神科医)
2018・7・31



◆2018年7月12日 第121回理事会◆


《審議事項》

第1号議案

2018年度グリーフカウンセラー養成講座・基礎コースに関する事項

6月28日(木)19:00から高松市男女共同参画センター学習室にて開催された第1回企画会議の報告があり,会場についてはサンポートホール会議室とすることが報告された。チラシ案の確認を行い一部修正することで承認された。発送作業は7月29日13時よりGWK相談室にて予定する。

第2号議案

三豊市自殺対策計画策定委員会委員選出依頼に関する事項

第120回からの継続審議として,杉山理事長より三豊市福祉課への確認事項について報告があった。委員の活動としては年2-3回の会議への出席が予定されている。今後,委員として受諾する場合は,グリーフワークかがわとして講師派遣などの協力体制をとることなども検討し,詳細を確認交渉する必要がある。交渉窓口は夛田副理事長が担当する予定で承認された。

第3号議案

ブロシュールの発送に関する事項

2017年度に作成したブロシュールについて,理事長をはじめとして理事が各関係機関へ直接出向いてPR活動を行うこととし,前回の配布先をもとに,今後配布予定の関係機関(保健センター,各保健所等)をリストアップする予定となった。前回発送時のリストをAIYAシステムに問合せ,発送先,持参先の選定を理事長が行うことで承認された。

第4号議案

自殺予防週間に係る活動に関する事項

WHOが定めた9/10の世界自殺予防デーに因み今年も設定される自殺予防週間9/10〜16に関し,当法人として路上でのPR活動を行ってはどうかという提案が西山理事よりなされた。主担当を西山理事とし,今後県のキャンペーンと共同して開催できないか,県担当者に確認後予定の詳細を計画していくことで承認された。

第5号議案

会計担当の引継ぎに関する事項

現在会計担当している村上美智子理事より,別紙「会計担当役割(会計事務局)」を基に認定カウンセラー吉田亜紀子氏及び西山和美氏へ引継ぎが行われているとの報告がなされた。今後会計担当者には,これまで通り理事会へ出席し事業の詳細と会計業務について適時説明報告を行う必要があり,新任者にも出席を依頼することとした。また,引継ぎにあたって,委任契約書を作成する。さらに,システムの効率化及び安全性を考慮し,新しい専用パソコンと会計ソフトを購入する予定として承認された。



◆2018年7月15日 第69回 認定カウンセラー会議◆


  • カウンセリングの現場での状況報告と課題について
     6月の相談事業について報告があった。
  • 2018年度グリーフカウンセラー養成講座について
     チラシ封入と発送作業を7月29日に行うこと,第二回企画会議を8月19日(日)に行うことの説明があった。


【勉強会】


担当:上野美幸

使用文献:
「子どもの悲しみによりそう・喪失体験の適切なサポート法」
ジョン・ジェームス、ラッセル・フリードマン、レスリ―・ランドン著
水澤都加佐、黒岩久美子訳
2014年大月書店

解説の概要:

パート2「第8章 探していた本を書いたジョン」から「第11章 短時間でエネルギーを取り戻す方法」を扱った。不完全で閉ざされてしまった未完の感情について、その感情を子どもが完結させるにあたり、援助する大人がパート1で取り扱った6つの神話に縛られていては適切な時期や感情表現の機会を奪ってしまうこと短時間の代替行動に頼っていては否定的感情は消化されないことを学んだ。またディスカッションでは、保護者だけでなく教育職など周囲の大人が子どもの未完の感情に気づくことが重要であるとの意見が交わされた。