2016(平成28)年10月グリーフワークかがわ
ニュースレター第150号(HTML版)

2016(平成28)年11月15日 グリーフワークかがわ広報部

◆第26回グリーフワークかがわ公開セミナーのご案内◆


  • 日時:平成28年12月4日(日)13時30分~15時30分
  • 会場:丸亀町商店街カルチャールーム(高松市丸亀町 壱番街東館4F)

テーマ:「苦しみ ~舞台にみるハンセン病~」

劇団マグダレーナは社会派の演技集団である。今年の”かがわ演劇祭”では、「瀉血」の公演をおこなう。メインテーマはハンセン病の恐怖と差別をつくりだした風評の闇をあぶり出す…というものである。 最も大切なもの、人としての尊厳さえも失い、安らぎのない苦しみと向き合うこととなった運命をどのように受け入れていくのか…。公演DVDを鑑賞しながら共に考えてみたい。

講師:中越 恵美氏(なかこし えみ)

劇団ドラマサロンに21 歳で入団。現在、劇団マグダレーナに所属し、舞台で数々の主演を演じるとともに映画やTVでも活躍中。


◆第23回グリーフワークかがわ公開セミナー報告◆


テーマ:こどものグリーフケア

グリーフワークを必要とするのは、子どもも大人と同じである。 子どもの悲嘆経験に対する反応は、発達段階に応じて異なり複雑である。大人はそのサインを見逃さないようにして、子どもと向き合い、どのようなサポートができるのかを見極める必要がある。

~子どもの発達に合わせた対応~

親ががんになった場合、「がん」という直接的な表現で子どもに真実を伝えるべきか…、それとも伝えないでおくか?参加者からの質問をきっかけに議論するところとなった。

今後、グリーフワークかがわでは、「喪失を経験した子どもの親・保護者のためのグループミーティング」を立ち上げる予定であることを参加者へ宣言して終了となった。


◆第24回グリーフワークかがわ公開セミナー報告◆


テーマ:グリーフケア ~苦しみをめぐる事柄から~No.2

第22回の公開セミナーに続くシリーズの後編である。導入の絵本「えきのおかあちゃん」子どもを亡くした過去を持つ女性が駅の利用者の母親のような存在となり、皆に慕われ守られながら今を生きているというストーリー。参加者からは、こんな風に自分もなりたい…との言葉があった。

今回のサブテーマは、「イエスが出会った喪失者とそこからの解放」についてであり、福音書(聖書)の物語の登場人物から引用して話が進行した。


◆リビングwithグリーフ◆


ハロウィーン

花岡 正憲


ハロウィーンは,毎年10月31日に行われる祭りで,古代ケルト人の国アイルランドが起源と考えられている。もともとは秋の収穫を祝い,悪霊などを追い出す宗教的な意味あいのある行事であったが,現代では特にアメリカをはじめ,カナダ,ニュージーランド,オーストラリアなど,主に英語圏で,恒例行事として行なわれ,宗教的な意味あいはほとんどなくなっている。カソリックの国ではハロウィーンにほとんど関心がないと言われる。

日本では,近年,意味がはっきり分からないままに,欧米の見よう見まねで盛り上がりを見せている。バレンタインデイやホワイトデイと並び,商業主義に踊らされている面もなくはないが,この日だけは,よこしまな相貌や姿に変装できるところに人気があるのだろう。

ハロウィーンでの仮装は,幽霊,魔女,コウモリ,悪魔,ゾンビ,ドラキュラや狼男,フランケンシュタインのような欧米の怪物や怪奇小説に登場するものが選ばれる傾向がある。子どもたちも邪気をはらんだ動物や小悪魔のメイクやコスチュームで仮装する。

今年のハロウィーンの時期は,一般の通行人が,暗がりから突然現れた不気味なピエロ姿の人物に追いかけ回される事態が,米国やイギリスで相次いだ。人を驚かせようと面白半分でやっているようだが,襲われた人がけがをする実害も出ている。日本でもアイドルグループの衣装がナチスの制服に似ているとネット上で炎上し,海外メディアでも報じられた。

奇抜で奇怪な仮装でサプライズや受けを狙いたいという心理も分からなくはないが,ハロウィーンは,自分の内・外の邪悪なものと向き合い,邪気を形として表現し,それと同一化して演じてみるには良い機会ではある。

WHOによれば,健やかな生活時間の損失(DALY,障害調整生命年)を指標にした順位で,先進国は,あらゆる健康問題の中で精神疾患が1位である。メンタルヘルス問題は先進国病でもあり,いわば文明の邪気に当てられて起きてくるものが少なくない。最近過労自殺問題で広告代理店電通の強制捜査が行われた。電通マンの行動規範「鬼十則」は,その最たるものと言えよう。

ハロウィーンの日には,メイクやコスチュームで人それぞれの悪霊を戯画化してみる。例えば,ハラスメントを受けている上司に変装して街へ出てみる。邪気をはらんだものを笑い飛ばすことで,そんな上司の下で働き続ける自分はいったい何なのだろうと,大切なことに気づく機会になるかも知れない。

こうした意味では,現代社会においても,古来悪霊(evil spirit)払いとされてきた行事は,魂(spirit)の休息になると言えるのだろうか。

(グリーフカウンセラー 精神科医)
2016・11・7


◆2016年10月9日 第99回 理事会開催◆


《審議事項》


第1号議案

2016年度上半期事業報告並びに収支に関する事項

「貸借対照表,事業費の内訳,活動計算書」に基づき本年度上半期の事業実績について報告され,変更・確認の必要について審議され承認された。

第2号議案

新規事業「グリーフワークデイ(仮称)」に関する事項

グリーフワークデイを設定するにあたり,Grief Awareness Dayあるいは既存の国際的な週間に合わせることも一案だが,いまだ過去のものとはいいがたい東日本大震災での大きな悲嘆をもとに,3月11日付近の日曜での開催を目指すことが一案として審議された。

第3号議案

寄付プロジェクトに関する事項

本年度予算22000円を利用し,1000部の印刷見積もりと発注,印刷納入後は相談室保管とし,必要時利用すること,また,ホームページ用文案についても掲載予定とすることで承認された。


◆2016年10月16日 第49回 認定カウンセラー会議◆


【審議事項】

1.グリーフワーク啓発事業について

  • 新規事業として、グリーフワークディ(仮称)を設定し、地域でグリーフワークを浸透させていくためのイベントを行っていく案が理事会で出ていることが杉山理事長から報告された。
  • 「どんなことが出来るか?」今後の認定カウンセラー会議の中でも意見を出していくこととなった。


【勉強会】


文献:子どもの喪失と悲しみを癒すガイド -生きること・失うこと-

リンダ・ゴールドマン 著   天貝由美子 訳

今回は、第1章「子どもたちの喪失と悲しみ」のp14~20まで読み進めた。

「物を失うこと」ではぬいぐるみをなくした例が示されている。その子どもにとってたいせつなもの であるという認識を、おとながどれだけ持てているかが子どもへのサポートのための重要な鍵となる。 「環境の喪失」では家族との別離についての事例、「自己の喪失」では、自殺、アルコール依存、虐待な どいくつも重なる問題を抱える事例が示されている。悲しみの表現は、行動の表出だけではなく、むし ろ声に出せない、何も感じなくなるといった「物言えぬ訴え」にこそ耳を傾ける感受性を持たなければ ならない。自己価値の喪失の問題として、「虐待を受けていることものサイン」「虐待を行うおとなのサ イン」について具体的な事象についても議論を行った。

次回は、p21~27を読み進める。


(報告 杉山洋子)